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JMSが伝えたい心。

 『日本独自のモノづくり精神の原点に立ち返り、経営体質そのものを今一度見直し、今後・将来目指す方向・姿をしっかり描き、企業としての競争力をレベルアップし続けてほしい』
 これはJMS制定時、参画に関わった私たちの思いです。この思いに相通じるJMSの「心」ともいうべき考え方・思い・企業文化・風土について、JMS制定に深く携わって頂いた企業トップの方々による講演録から紹介致します。
 これら言葉からJMSに秘められた本質を直に感じ取って頂けるものと考えています。

 


内藤 明人 氏

(リンナイ株式会社 代表取締役会長、一般社団法人中部産業連盟 名誉会長、
JMS推進機構 副理事長)
 <平成16年8月2日 於:名古屋観光ホテル>

日本のモノづくりの宿命

今後の日本におけるモノづくりは、常に先を見越した付加価値の高い高度加工立国として歩むしかなく、これは宿命である。

我が社の基本精神

世界のどの国においても礼儀正しく相手を尊敬する心を常に忘れないよう心がけている。

モノづくりに必要とされる3つの要素

第一に『従来にはない新製品』、第二は、『従来のものを絶えず改良した新製品』そして、 第三に『生産プロセスにおけるコストダウンと品質向上への日々の改革


渡辺 捷昭 氏 

(トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長、JMS推進機構 前理事長)
 <平成16年8月2日 於:名古屋観光ホテル>

日本の製造業への心配、懸念

少子高齢化や高コスト構造さらには行き過ぎた規制や保護により、このままの延長線上で モノづくりを続けていった場合、果たして日本の製造業は生き残れるのか大変心配である。 変えるべきものは変える、守るべきものは守るという視点をもたなければならない。

世界に勝てるモノづくりの追求

世界的規模、地球規模の競争に勝つためには以下の3点が重要である。
第一に『技術開発力の強化』、第二に『コスト競争力の強化』、第三に『これらを成し遂げる  ための人づくり(人材の育成)

人と組織の活性化

モノづくりは、人づくりと仕組みづくりで、そのベースは「人間性尊重」「知恵と改善」の二本柱である。
これらをさらに詳しくいえば以下の4つの考え方になる。
第一に『人を大切にすること。さらにその人を育てなければなりません。ひとりひとりがチームとなった時、力を発揮できるように努力しなければなりません。』
第二に『チャレンジ。高い目標を持ち、勇気と創造力で挑戦する企業風土をつくっていかなければなりません。』
第三に『カイゼン。現状で満足してはいけないということで、問題・課題の発見能力が大変重要です。現状で満足したら衰退が始まります。』
第四に『現地・現物。これは、本質の見極め、事実の確認、真因の追求です。徹底して細か く確認する中から改善点を見出していく習慣・風土を育まなければなりません。』

モノづくりの未来に向かって

現地・現物を大切にし、しっかりと本質を見極め、目標や志を高くし、問題・課題を潜在化させず見える化する。
これをみんなで共有しながら、問題・課題に一丸となって地道に愚直に徹底的に取り組んでいけば、必ず日本のモノづくりは発展すると確信している。


長谷川 武彦 氏

(ヤマハ発動機株式会社 元顧問)
 <平成16年9月3日 於:ウエスティンナゴヤキャッスル>

創業者の川上氏から学んだモノづくりの三つの教え

第一は『モノづくりは決して人真似ではなく、本物を目指すこと』、第二は『世界に通用しないものは商品ではない』、第三に『志を高くし、困難を乗り越えるチャレンジスピリット』 この3点が現在の私のコアになっています。

本物づくりの追求

モノづくりは本物づくりのことだと思います。商品には、機能性と合理性を追求したグループと感性やこだわりを重視したグループがあります。前者はある会社が出したものに対する類似品はいずれは集約され結局は1社もしくは2社しか残らず、結局は本物が残ることになる。後者は、五年・十年と経つとステイタスや憧れの商品として残るものがあり、こういうものがこだわりや感性型の本物といえるでしょう。

新しい価値の追求

新しい価値の創造に挑むのなら、人や社会への貢献という発想がなければ、成功は難しいでしょう。利益だけではなく、人や社会のために役に立とうという姿勢、志の高さ。それが行動力の持続ということになると思います。

絶えざる自己革新

新しいことをするには、絶え間ない自己の革新が必要です。たとえば、経営と現場の心が通じ合うとかという問題。それらは、会社が大きくなるほど分かっていても物理的には対応できなくなります。これをどう解決するかが大きな課題です。


加藤 典孝 氏

(ソニーイーエムシーエス株式会社美濃加茂テック 前プレジデント)
 <平成16年9月3日 於:ウエスティンナゴヤキャッスル>

「ムダ取り」という哲学・理念

生産革新は、モノづくりのための手段ではなく、哲学や理念だと思います。私は「ムダ取り」という哲学や理念にしたいというおもいがあります。

付加価値とムダ

付加価値をつけるということは、時間が過ぎる中で形を変えながらより価値のあるものに 変えていくことです。
ムダの中で一番大きなものは時間のムダ遣いです。過ぎ去った一秒は決して戻りません。
ムダの発生原因は、練習不足・経験不足など個人の裁量による時間の浪費ともうひとつは仕組みのまずさによる浪費です。これを直すのが「ムダ取り」です。

「活人」の意味

私どもが取り組んでいる生産革新のキーワードが「活人」です。例えば工程改善の場合、
出来るだけ少ない人で多くの仕事をこなせるように、その人の持っている能力を最大限引き出すことを目指しています。そのために、生産技術・開発・管理・人事スタッフも一緒になって知恵をださなければなりません。

継続こそ力なり

地道にコツコツと続けること、「継続は」ではなく最近では「継続こそ」と言っています。
そしてこだわりを持ち続けることです。こだわりがなくなると怪しいことを始めるようになります。


蛇川 忠暉 氏

(日野自動車株式会社 代表取締役会長)
 <平成16年11月12日 於:ホテルグランコート名古屋>

現場と経営の役割

日野自動車の現場はトヨタ式そのもので何の疑念もありません。病を完治させる、現場はこれに尽きると思います。
一方、経営は、成人病検診みたいなもので、どこかおかしなところはないかを見えるようにするわけです。

改革のはじまり

現場が強いと乗り切れるという自信から、現場の頑張りがいざという時に経営を支える、これこそがものづくりだと思ったのです。

日野自動車の立て直し

日野の立て直しについて、私が行ったときは既に大手術が実施されていて、私が担ったのは、元気を失っていた会社を奮い立たせ業績を回復することでした。トヨタで四十年間教わったことをただ愚直にやっただけです。
結果的にいえば、トラックの常識を壊したということです。トラック商売への思い込み、販社や海外事業体の赤字、トヨタからの受託頼みのトラック事業など、発展性のない意識や現状を変えていったわけです。

 


安井 義博 氏

(ブラザー工業株式会社 代表取締役会長)
<平成16年11月12日 於:ホテルグランコート名古屋>

リーダーの役割とモノづくり

リーダーは時代や社会の変化に敏感でなければなりません。企業は変化の本質を掴み、対応していかなければ存続は困難です。そして変化は決してピンチではなく、チャンスとして捉えるべきであり、どのようにチョイスすればチャンスになり得るかが重要なのです。
ただ、あらゆる変化に対応することはできません。自分の得意とするところ、会社の強みとして活かせるものを選択することです。
環境の変化に対応すること、競争相手に対応すること、この二つの対応が企業にとって重要です。
ターゲットを絞り、確信を持って創造活動に注力する、そういう方向付けや選択は、リーダーにしかできないと思います。

起業家精神と士気の向上

モノづくり企業には起業家精神が求められ、リーダーは進むべき方向・方針を示さなくてはなりません。そのために重要なのが、士気の向上であり、常に現場や職場で話し合うべきだと思います。

づくり、事づくり、人づくり

日本のモノづくりは「品づくり、事づくり、人づくり」の3つに集約できると思います。
品づくりとは、人々はモノを求めているのではなく、品質や価値を求めているということ。
事づくりとは、お客様の求める品を生み出した後、それをいかに認知して頂くかということです。
最後に全ての活動の中心となるのは人です。二十一世紀は人の重要性が改めて注目される時代であり、人の創意、工夫、熱意、努力を活かし、これを正当に評価できるしくみを構築することが求められると思います。
これがまさに「人づくり」だと思います。

 


若山 甫 氏

(トヨタ自動車株式会社 専務取締役、JMS推進機構 理事長)
<平成17年11月28日 於:栄ガスホール>

現地現物(ペーパーワーク主体への憂い)

いつの間にかペーパーワークが主体になってはいないでしょうか。書類やメールによる伝達ゲームをやめ、現場に行き現物を前にみんなが集まるべきです。
もっと現場を活用する、そういう場づくりを考えるべきだと私は思います。

リスペクト(気配り)

モノづくりの現場で気配りを考えると作業環境が人にやさしいかなど、なるほどと思うことがたくさんあります。製造現場だけでなく身の回りでも気配りの欠如が多くあります。突き詰めていくと気配りは、カスタマーファーストという言葉に置き換えられます。
豊田章一郎名誉会長が平成11年にこういっています。
「お客様第一という考え方は従来もありましたが、それを経営理念の一番目としてはっきり掲げました。これはお客様あってのトヨタという考え方で、それは当社の発展の基礎であります。」

改善

よくトヨタは乾いたタオルを絞ると言われますが、要は現状に満足しないという考えです。
原価でも品質でも発想を変えて取り組んでこそ「日本のものづくり」と言えると思います。

人づくり

豊田英二最高顧問の言葉を紹介します。
「人間がモノをつくるのだから、人をつくらねば仕事もはじまらない」
私の意見ですが、人の成長は緩やかにあがるものではなく、階段型だと思っています。例えば、教育で揉まれた時や何かを達成した時、大変な苦労をした時などに、階段の高さは異なるかもしれませんが、そんな時に階段を一段上がるわけです。
従って、何もなく十年だらだらと過ごした人と三年・五年でも苦労した人とでは到達点が違うということです。
人づくりこそ、企業を強くすることを信念として、基本を徹底し充実・改革を続けていきます。

 


岩田 義文 氏

(イビデン株式会社 代表取締役社長)
<平成18年2月9日 於:メルバルク名古屋>

イビデンの歴史から思うこと

明治の人々か残してくれたDNAというべき電力事業、事業への意欲を何としても守っていくこと。
ニッチであっても業界トップを目指したいということ。
「お客様絶対」という考え方で、巨大なお客様から、多くのことを学び、経営の力をもらったということ。
企業の基盤活動の考え方では、形式ではなく現地現物が大切だということ。

お客様から学んだこと

いろいろな「しかけ」「しくみ」を教えられました。特に、大手半導体メーカからは商品企画から開発、量産までのノウハウを習得しました。
「お客様絶対」として忠実についていったことが、結果的に私どもの今日に繋がっています。
そして、厳しいお客様の要求をクリアすることで、その成し遂げた達成感を味わい、貴重 人材が育てられたのではないかと考えます。

今後のチャレンジ方向

私どもが目指すのは、永続的に発展できる企業であり、グローバル化・空洞化への対応・人材育成などを当面のテーマとしています。
イビデンのDNAを受け継ぐ人材を育み、永く社会に貢献できる会社にしていきたいと思っています。


 

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